2026年の新年が明けた。高校3年生の大学進学組で最も注目されているのは、横浜高で主将を務め、早大の門をたたく阿部葉太外野手である。
同校野球部から1901年創部の早稲田大学野球部に入部するのは初のケース。阿部は「自分が新たな歴史じゃないですけど、後輩たちにも新たな道筋を示していきたいと思います」と、同校出身者として自覚を胸に行動する。
阿部は名門・横浜高で1年夏からレギュラー。2年春の県大会後の5月、村田浩明監督が超異例の下級生主将に抜てきした。前年夏(23年)は、慶應義塾高との神奈川大会決勝で逆転負け。24年夏に向け、チームの士気を上げる起爆剤として、指揮官は決断した。「勝つ集団」にするため、阿部は自ら手を挙げたという。
同夏は東海大相模との神奈川大会決勝で敗退。甲子園をあと一歩手前にして、2年連続で涙をのんだ。村田監督は「阿部が主将でなければ、あそこまで勝ち上がれなかった」と、2年生キャプテンの選択に一切、後悔はなかった。
無念を糧にした2年秋以降、阿部は村田監督の期待に応え続けた。抜群のリーダーシップでチームをけん引し、3年春のセンバツで19年ぶり4度目の優勝、同夏の甲子園では8強進出を遂げた。侍ジャパンU-18代表でも小倉全由監督(日大三高元監督)から全幅の信頼を受け、主将の大役を託された。自国開催のU-18W杯(沖縄)では準優勝に輝いた。
高校野球界は、24年シーズンから低反発の金属バットになった。この完全移行に合わせて、阿部は打撃フォームを修正。すべての基本は下半身。体のメカニズムを細部まで研究し、最大限のパワーをインパクトに伝えることを学んだ。試行錯誤の末、ドジャース・大谷翔平に近い打撃フォームに行き着いたという。「しなやかな体の使い方をしているので、理想はあの柔らかさです」。大学では金属バットから木製バットに変わるが、下準備を終え、この形をベースにし、改良を重ねていくという。
■目標は東京六大学リーグ記録の131安打
2025年春のセンバツで19年ぶりに優勝した横浜高。主将・阿部は沖縄尚学高との2回戦で先制3ランを放った。早大では長打力に、より磨きをかけていく [写真=毛受亮介]
阿部が25年秋にプロ志望届を提出していれば、ドラフト上位指名は間違いないと言われた。複数のNPBスカウトに確認すると「12人(ドラフト1位)に入ってくる」と、攻守走3拍子そろったプレースタイルは、高評価だった。一方で、高校2年秋を前にして「大学進学」の情報が流れていた。阿部は高校入学時点では「プロ志望」。2年夏までに甲子園で活躍する「ノルマ」を掲げていたが、実現できなかった。
「自分の人生において大学を経験しておいたほうがいいかな、という思いがありました。2年生11月の明治神宮大会が終わった後、村田監督に大学進学の意向を伝えました」
早くから勧誘を受けていた早大受験を決意。昨年11月、アスリート選抜入試に合格した。
村田監督は新たなステージへと向かう阿部に対して「要望」を出した。「注目される中で結果を残すことに意味がある」と、4年間での目標設定を「131安打超え」とした。明大・高山俊(オイシックス新潟)の持つリーグ記録の更新。「上を見過ぎてはいけないですが、4年生の春のリーグ戦始まる頃には、そこも狙えるような選手になっていればと思っています」。この数字を狙うためには、1年春からレギュラーとして出場することが求められる。
早大・小宮山悟監督からは「即戦力として期待している」と言われており、阿部もそのつもりで準備している。「全試合出場するための体力づくりが必要」。高校通算7本塁打を受けて「この先4年後、プロを志望していく中で、長打力も求められる。その中で率も残せれば、プロ野球のスカウトの方の目にも留まると思うので、その2つをしっかりとやっていきたいです。4年間でリーグ戦にフルで約100試合出場するのであれば、20本塁打は打ちたい」と、言葉にも力を込める。
横浜高の活動拠点・長浜グラウンドで汗を流すのもわずかだ。早大のアスリート選抜入試組の新1年生は、例年であれば2月上旬には安部球場での全体練習に合流する。そして、3月の沖縄・浦添キャンプに帯同し、実戦の機会が与えられる。オープン戦でもアピールできれば、1年春からの定位置奪取が視界に入ってくる。チーム事情としては、昨秋まで不動の「一番・中堅」を務めた尾瀬雄大が卒業。阿部は高校時代からこの慣れ親しんできたポジションに入り込むことを目論んでいる。
■大学日本代表入りが目標
阿部のモチベーションの高さは、大学入学前とは思えないレベルにあり、すでにその先も見ている。
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Source: ファイターズ王国@日ハムまとめブログ


